安田塾メッセージ№29      第9回安田塾の事後報告

                                   2011年6月16日 安田忠郎
               第9回安田塾(緊急集会)を終えて

a0200363_0495620.jpg▲ 東日本大震災→福島原発事故を受けて、「槌田敦」講演会があわただしくも4月16日(土)午後2時~4時30分、東京マスダ学院(JR総武線「平井駅」下車)で開かれました。
 第9回安田塾の参加者は、常連が数えるほどながらも、主に会場を設営した松田敦さん及び東京マスダ学院の関係者が集い、計48名に達しました。その意味で、今回は「一般市民」に門戸を開放する安田塾の所期の目的がなにがしか達成された会合となりました。

a0200363_1872164.jpg▲ 最初、私が「北炭幌内炭鉱で『1968年十勝沖地震』に遭遇して」と題して、約20分お話ししました。
 私はかつて1968年5月16日午前9時49分、地下850メートルの坑底で、マグニチュード7.8の「十勝沖地震」に遭いました。この半死半生の極限的体験をとおして、当時から今日まで、「石炭産業とは何か」→「石炭→石油→原子力とは何か」→「日本&日本人とは何か」の諸問題に、私なりの思考をめぐらしつづけてきました。
 しかし、20分程度の語りで、この一連の問題を本格的に取り上げ掘り下げることは、とても無理です。私としては今回、あくまでも真打ちの槌田さんの前座を務めるべく、①炭鉱と地震の問題に軽く触れ、②炭鉱の閉山で失業したヤマ男たちの一部が原発の下請け⇒被爆労働者に成り果てた事態に言及し、③「私たち日本人は人間としての<怒り>を持つことができるか」を問題化しました。
 ③では、羽仁五郎(1901~83)のある講演内容が意識化されました。1960年代後半の大学紛争時、羽仁は学生聴衆に向かって、1837(天保8)年の「大塩平八郎の乱」―大坂町奉行所の元与力・大塩平八郎とその門人らによる江戸幕府に対する反乱―に触れながら、挑発的に言葉を発しました。「君たちは今までに本当に怒ったことがあるか?許せない現実というものがある!だが、私たちは余りにも怒りを忘れつづけているんだな―。」
 
 ここで対照的に、東日本大震災(地震・津波・原発事故)による「被災地の悲惨な状況に深く心を痛め(る)」今上天皇の、次のようなメッセージ(3月16日)が注目されます。
 「(前略)この大災害を生き抜き、被災者としての自らを励ましつつ、これからの日々を生きようとしている人々の雄々しさに深く胸を打たれています。(中略)海外においては、この深い悲しみの中で、日本人が取り乱すことなく助け合い、秩序ある対応を示していることに触れた論調も多いと聞いています。これからも皆が相携え、いたわり合って、この不幸な時期を乗り越えることを衷心より願っています。(後略)」

 私たち日本人は、いつまで予定調和的な運命共同体に安住しつづけなければならないのか!
 フクシマでは、人間存在を根底から脅かす、史上最大規模の核災害が進行しています。一度でも事故を起こせば、もはや取り返しのつかない、リスク無限大の巨大技術。私たちは何としても、核の時代に終止符を打たなければなりません。
 そして併せて考えるべきは、この国における空疎な知的光景の問題です。戦後日本の社会的状況下、水俣でも成田でも原子力でも、結局のところ異議申し立て=対抗的文化(カウンターカルチャー)が排除され、封じ込められてきました。日本には政治・行政・議会・司法万般にわたって、これまで馴れ合いの「偽装民主主義」はあっても、真の意味での民主主義はなかったのです。
 私たち日本民衆は今こそ、一人一人が内なる満腔の<怒り>をもって、原子力立国の呪縛を解き、「理念なき政治」・「人格なき学識」・「道徳なき商業」・「人間性なき科学」といった一連の「社会的な罪」を裁かなければなりません。
 

▲ 続いて、槌田敦(つちだ・あつし、物理学者、1933~)さんが「いま、福島原発に何が起きているのか?」の演題で、2時間余の講演を行いました。
 講演内容の基本は、「政治の民主化」にもとづき、原子力という悪魔を「安楽死」させようとする、したがって産・官・政・学・メディア一体の「原発」利益共同体の構造的欠陥を仮借なく暴こうとする、彼の年来の思想的立場が如実に現われたものでした。福島原発事故の事態を見極める彼の鋭角的な視点は、多くの参会者の耳目を集めました。その論調全体(←大状況と小状況の緊張関係)から、私は既成権威の暴圧に屈しない彼の不撓不屈の精神をうかがい知ることができました。
 話は大別して3項目(Ⅰ~Ⅲ)に関するものであり、その大要(私による再構成)は以下の通りです。

 Ⅰ.「スリーマイル島」酷似事故から「チェルノブイリ」酷似事故へ 
 原子力発電所(原発)事故では、「止める」「「冷やす」「閉じ込める」が3大鉄則である。ウラン燃料の核分裂が止まっても、その直後から大量の「崩壊熱」が半永久的に発生し続けるので、炉心に水を循環させて、冷やし続けなければならない。また、原子炉から放射性物質が外部に漏れないよう密閉性を保たなければならない。
 福島第一原発(沸騰水型軽水炉、東京電力の施設)事故とスリーマイル島原発2号炉(加圧水型軽水炉)事故(1979年、米国ペンシルベニア州)。両者はよく似た経緯をたどっている。そこでは、トラブルの発生直後に、原子炉を「止める」ことはできたが、「冷やす」と「閉じ込める」機能を失った結果、「放射能」汚染(環境中への放射性物質の漏出)、周辺住民の避難という重大な事態を招いた。ちなみに、スリーマイル島原発事故は国際原子力事象評価尺度(INES)で「レベル5」(施設外へのリスクを伴う事故)である。
 これに対して、チェルノブイリ原発4号炉(黒鉛減速炉)事故(1986年、ウクライナ共和国・旧ソ連)では、原子炉停止を想定した、電源喪失の対応実験中に制御不能に陥り、原子炉自体が核分裂反応の暴走の末に大爆発を起こし、その結果ヒロシマに投下された原爆約500発分もの放射性物質が大気中に飛散し、世界を震撼させる原発史上最悪の被害をもたらした[INES・最悪の「レベル7」(深刻な事故)]。
 
 スリーマイル島およびチェルノブイリの原発事故は、1基の原子炉だけに発生した。
 ところが福島原発の場合、運転中の1~3号機で、緊急自動停止後、「非常用電源を含む全電源」の喪失→「緊急炉心冷却システム(ECCS)」の注水不能のため、核燃料が「空焚き」状態となり、原子炉圧力容器と格納容器の圧力と温度が上昇し、ついに何らかの爆発が起きた。
 [安田註:この爆発について、各種メディアの報道では微妙な相違が見られるものの、概して1号機と3号機における「原子炉建屋」の水素爆発、2号機における「圧力抑制プール」の爆発、さらに定期点検で炉が停止中の4号機・「使用済み核燃料プール」の水素爆発が指摘されている。しかし槌田講師の「仮説」によれば、福島原発事故は4つの「原子炉」と4つの「使用済み核燃料プール」の事故であり、「炉心溶融」を除く、「過酷事故(シビアアクシデント)」(燃料崩壊・原子炉底抜け・水蒸気爆発・格納容器破裂・核爆発・核暴走・定常臨界…)のあらゆる可能性が現前した「複雑怪奇」な事故である(水素爆発が起きたのは、1号機の原子炉建屋だけである)。] 
 
 この間、東京電力が肝心の「電源復旧」作業よりも先に行った緊急対策は、炉心と核燃料プールに「海水」をかけ、熱を冷やすことであった。自衛隊・警視庁・東京消防庁も、あげて決死の放水を敢行する。しかし、海水(後に真水に切り替え)の大量注水によって、原発内の放射性物質を外部環境へジャブジャブと「洗い流し」、「ジャジャ漏れ」させる最悪の状況が生じる。
 福島原発の事故は、複数の原子炉に問題が広がった人類史上初めての複合原子力事故である。

 原発事故の「収束」とは、核燃料を「冷やす」ことであり(→100℃未満の「冷温停止状態」)、また放射性物質を「閉じ込める」ことである(→「施設から外に放射性物質が出ない状態」)。この点、スリーマイル島原発事故は「16時間」で、チェルノブイリ原発事故は「10日」で、何とか収束したといわれる。
 しかし、福島原発事故は現在進行中であり、まだ1ヶ月を過ぎても収束の目途が立たず、1号機から4号機の四つの施設から大気中と海中に放射性物質を放出する事態に追いこまれ続けている。ここでの放射性物質のトータルな放出量は、今後の成り行き次第では、チェルノブイリ事故のそれを超えることになろう。ちなみに、日本政府はこの4月12日、福島事故がINESでチェルノブイリ事故と同級の「レベル7」(暫定)にあたると発表した。
 
 チェルノブイリでは、大量の放射性物質が一気に一帯に飛散した。その放射性物質による汚染は、現場付近のウクライナだけでなく、隣のベラルーシ、ロシアに及び、さらに風に乗って北半球全域に広まった。
 フクシマから吹き上げられた放射性物質は、今なお風に乗って関東地方に飛来している。東北および関東地方は、放射性物質が徐々に降り積もる汚染地域と化している。フクシマはチェルノブイリに限りなく近づいている―。
 高汚染地帯は半径50km圏、飯舘・南相馬・福島・郡山・高萩…。中汚染地帯は半径200km圏、仙台・山形・前橋・さいたま・東京・川崎…。 

    ↓ 福島原発事故がチェルノブイリ原発事故と同じ規模になった場合の避難範囲(100km→200km→300km) 
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Ⅱ.「3悪人」の犯罪 
 福島第一原発の大事故は、人知の及ばない自然災害ではない。人間の悪意・無知・無能によって引き起こされた人災である。この人災犯罪を起こした最大の責任者は、次の3悪人である。
 班目春樹(まだらめ・はるき、1948~):「原子力安全委員会」(以下、安全委)現委員長、「原子力安全・保安院」(以下、保安院)⇔「東京電力」(以下、東電)のデタラメな事故処理を放置した。 
 鈴木篤之(すずき・あつゆき、1942~):安全委・前委員長、必要な安全規制をサボり、ECCS電源機能の欠陥を放置した。 
 勝俣恒久(かつまた・つねひさ、1940~):東電現会長・前社長、費用を理由に安全対策をないがしろにした。

 日本の原発の安全管理は一義的には、原発を所有する電力会社が責任をもって行うことになっている。しかし、原子力は国策として進められているエネルギーのため、その電力会社による安全管理の内実を国家としてもチェックする体制になっている。
 具体的には、保安院と安全委が日本の原子力行政の安全対策を担う組織である。前者は経済産業省・資源エネルギー庁の「特別の機関」であり、電力会社による原発の定期検査の妥当性をチェックしたり、現実に検査官が原発に常駐して、施設の検査を行ったりする。そして、後者は内閣府に属する、原子力研究の専門家が集まる組織であり、保安院による検査・安全管理の妥当性を専門的にチェックする役割を務める。
 問題は現代日本社会の状況下で、原子力施設の安全をこの二つの行政機関がダブルチェックする体制がきちんと正しく機能してきたのかどうかである。
 

 (1) 班目春樹の人災犯罪⇒事故拡大(INESのレベル5からレベル7への深刻化)の原因
①班目・安全委委員長(在任:2010.4~)は、事故処理に当たって、その実行者(東電への直接的な安全規制の担当者)である保安院を監督する責務を放棄した。彼は原発を本当に理解した技術者が少なく、原子炉運転の基本も知らない保安院の悲劇的な愚行を許した。すなわち、
・ 原子炉に水を入れるには、原子炉の圧力を下げること―ex. 主蒸気バイパス弁を開いて水蒸気を復水器に移送すること、または圧力逃がし弁を開放すること―が必要であるにもかかわらず、事態を放置した。 
・ 原子炉への「海水」の注入を許した。結果、海水が蒸発して塩になり、燃料棒の隙間を塞ぎ、炉心の冷却を妨害する事態を招いた。
・ 空焚きの使用済み核燃料に大量の海水を「ぶっかける」ことを許した。この作業は放射性物質を微粒子にして大気中に拡散させ、また建物内部や敷地を水浸しにした。また、海水の使用でイオン交換による除染を不可能にした。
・ 復水器(原子炉の重要な構成要素)に床などにたまる海水の泥水を投入することを許した。結果、この大切な復水器を用いて原子炉を冷却する方法の有効性が失われた。
②彼は使用済み核燃料に対して、鉛粒をヘリで落とし、鉛(融点327℃)で包み、液体窒素で冷やす方法を採用しなかった。現にチェルノブイリ事故で「鉛を投入する」対策が実効を上げたにもかかわらず、これを無視した。
 

 (2) 鈴木篤之の人災犯罪⇒災害の根本原因
①彼は昨年8月、高速増殖炉「もんじゅ」を運営する「独立行政法人・日本原子力研究開発機構」理事長に就任した。安全委という原発の「お目付け役」から無節操にも、原発の推進役への横滑りである。
②彼は安全委委員長時代(在任:2006.4~10.4)―
a. 07年に発覚した電力各社の不祥事(臨海事故隠しや制御棒トラブル隠しなど)をめぐって、「国の検査をいたずらに増やすと、現場の負担が増えて安全上マイナス」と電力業界ベッタリの仰天発言をした。
b. 「2007年新潟県中越沖地震」(M6.8)→東電・柏崎刈羽原発事故(「想定を上回る地震動」→変圧器の火災)に触発された、原発の耐震安全性の総点検を促す各種の住民運動(ex. 福島原発の耐震性確保と津波対策の徹底を求める「福島県議・県民」の声)に対して、これをいっさい無視し、現状追認に終始した。
c. 保安院の審議会(09年6月24日の第32回「地震・津波、地質・地盤合同WG」)で、福島原発の耐震安全性評価に関して、地震学者(産業技術総合研究所)の岡村行信によって、「原発の安全性は十分な余裕を持つべきであり、869年の『貞観地震』(三陸沖を震源として甚大な津波被害が発生、マグニチュード8.5前後と推定される)が示唆するリスクを考慮すべきである」旨が提案されたものの、これを平然と無視した。
d. 06年10月27日の衆議院内閣委員会で、吉井英勝・衆院議員(共産党)によって、非常用を含めた「電源喪失」が招く、「機器冷却系の不作動→炉心溶融の危険性」の事態が指摘されたとき、ぬけぬけと答弁した。日本の原発には「多重・多様な」電源設備があり、他の原発からの電力融通も可能だから、「電源喪失の事態は想定できない、大丈夫だ」と。なお、昨年5月26日の衆院経済産業委員会で、同じ吉井議員に対して、保安院の寺坂信昭院長もこの鈴木の答弁と同趣旨の考えを表明している。
 ところが福島第一原発では、ECCSを駆動する非常用ディーゼル発電機13台(原子炉全6基=1~6号機の各機に2台、6号機だけ3台)すべてが仲良く海側の地下室1箇所に並べられていた。これでは、事と次第によって、非常用電源機能の全体が同時に消滅する可能性が大である。
 案の定、今回の福島原発事故では、非常用発電機が地震による津波で13台中12台が―6号機の1台を除いて―使用不能となり、ECCSが稼動せず、大惨事をもたらすにいたった。

 (3) 勝俣恒久の人災犯罪⇒直接の事故原因
①彼は東電の社長(在任:2002.10~08.6)→会長(08.6~)―子飼いの清水正孝を社長にし「院政」を行う―として、「勝俣東電=勝俣王朝」に傲然と君臨してきた。しかし、何がしからしめたか、3月11日は彼の運命を暗転させた忌まわしい日となった。
②彼は前掲(2)の②b.c.d.における鈴木篤之と同様―
(ⅰ)住民運動体「原発の安全性を求める福島県連絡会」による、福島原発の抜本的な「地震・津波」対策を希求する文書=東電社長宛ての「申し入れ」(07年7月24日←さかのぼって05年5月10日)を事もなげに無視した。
(ⅱ)869年の、仙台平野を襲った「貞観地震」並みの地震が再来するという警告を冷然と無視した。
(ⅲ)福島原発のECCS機能を改善することもなく、非常用電源の配置も手をつかねて放置した。
 この(ⅰ)(ⅱ)(ⅲ)は彼の場合、基本的にはコスト・パフォーマンスのなせる業であり、安全対策にかかるコストを最小限にし、東電の利益を最大限にする経営マインドに由来する。東大経済学部→東電企画部の主流コース→社長に就任した彼は、市場原理に基づく経営効率化を優先課題とするとともに、原発のリスク管理を怠った。
 「安全」対策には当然、金がかかる。原子力安全が割りに合わず高くつくのなら、断じて原子力という「ダモクレスの剣」を利用すべきではない!
③今回の「東北地方太平洋沖地震」は、「国内観測(気象庁)史上最大のM(マグニチュード)9.0」―「千年に1度の巨大地震」・「想定外の地震」であると、世に大きく喧伝された。
 Mはその数字が0.2大きくなるとエネルギーが約2倍になるので、9.0とは1923年9月1日の関東大震災を引き起こした7.9の「大正関東地震」に比べて45倍ものエネルギーがあったことになる。果たして、そうなのか?!
 東北地方太平洋沖地震のMは、気象庁の当初の発表では7.9であった。しかし、それが8.4に修正され、やがて8.8への再修正を経て、最後に9.0にまで「引き上げられた」のだ。
 実は、日本の従来の地震ではすべて、「気象庁マグニチュード(Mj)」の計算法が採用されてきた。ところが今回、気象庁は突如として、しかも何の説明もなく、8.8の段階から「モーメントマグニチュード(Mw)」の計算法を導入し、9.0にまで上昇させるにいたった。Mwは巨大地震の規模の表現に適したものとして国際的に広く使われているものの、日本ではこれまで地震学者間にしか通用していなかった。
 勝俣東電は前代未聞のM9.0を発表することで、「想定外」の大地震→大津波の方へ情報操作・世論誘導して、責任逃れを図っている。法律的に「未必の故意」として断罪されることを「想定外」で言い逃れようとしている。ここには、さらに「原子力損害賠償法」(原賠法)に絡む次のような隠れた事情も透けて見える。
 原賠法は原子力損害に対する電力会社の賠償責任を定めているものの、第3条第1項で「その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によって生じたものであるときは、この限りでない」と電力会社の免責規定を設けている。
 勝俣東電の腹の内はこうである。福島第一原発事故の損害賠償が巨額(何兆円?)に上れば、一挙に経営に破綻を来たすので、賠償額のコストはできる限り小さくしたい。そこで原賠法の例外規定=「<想定外の天災>による原子力事故が生じた場合は、企業だけに責任を負わせるのではなく、国民の税金で被害補償をすることがある」、これをぜひとも発動させたいものである―。

 (4) 今ここにある「人災の闇」
班目、鈴木、勝俣の3悪人を告発して、裁判にかけよう !!
● 安全委は改組すべし!少なくとも班目ならぬデタラメ委員長は解雇すべし!
● 東電は事故処理費用と損害賠償額を、自社の全資産を売却して捻出すべし!
 電気料金の値上げなど論外である。発電装置と送電装置は、様々な電力会社に、従業員付きで売る―。
 はっきりしている点は、史上最悪の事故を生んだ原因企業・東電を安易に救済してはいけないことである。まずは東電が身を切り、国民負担はその後である。東電倒産後の事故処理と損害(国民の被害)を国民の税金で補償すること、これは致し方がない。



Ⅲ. 「被爆」とは、「放射能」とは
■ フクシマからの放射性物質(放射線を出す物質、俗に「放射能」)が日本に舞っている。それは目に見えず、においもなく、耳にも聞こえない。この途方もない「怪物」が忍び寄る危険を自分(全身的な五感)で察知できないだけに、得体の知れない不安を感じる人は多いだろう。
 核分裂で生じた放射性物質は、「死の灰」ともいわれる。人間に牙をむいた「死の灰」がもたらす健康被害は、計り知れない。無気力、めまい、嘔吐、下痢、出血、脱毛、意識障害、ガン、白血病、そして死…。
 たしかに放射性物質は目に見えないから恐ろしい。空気や水に含まれていても、土壌に降り注いでもわからないから恐ろしい。
 ところが奇妙きてれつなことに、それはガイガーカウンター(放射線測定器)で、微量な汚染数値まで測定できるシロモノである。この点が放射性物質と他の毒素との決定的に異なるところである。

■ そもそも被爆とは、人体が放射線にさらされることである。被爆には、放射線源が体外にあって外部から放射線を被曝する「外部被曝」(体外被曝)と、何らかの理由(呼吸や食べ物・飲料水など)で体内に取り込んだ放射性物質によって被曝する「内部被曝」(体内被曝)の2種類がある。。
 一般に―ただし、「風と雨」の問題を度外視すれば―、「放射線の強さは距離の2乗に反比例する」。
 人間は内部被爆にいたれば、限りなく近いところ(体内)から放射線を浴びるとともに、放射線源からの距離が近づくほどに被爆量が増大する危機に見舞われる。体内被爆では、ベータ線に加えて、ガンマ線とアルファ線もあるので、主としてガンマ線に限られた体外被爆より被爆量がはるかに多く、被害が深刻化する。内部被曝した場合に、放射性物質が微量でも、放射線の線量がわずかでも、それが長期にわたって体内に留まるかぎり、深刻な健康被害をもたらす可能性(ex.発癌リスク)が高まる。要するに、体内被爆には「これ以下なら健康被害がない」といえる「閾値(しきいち or いきち)」は存在しない。

■ 原発事故による放射線被曝について、X線検査やCT検査と比較し、「安全」「心配ない」と被害の実状をことさら小さく伝えるのはマヤカシであり、牽強付会もいいところである。
 ウサンクサイ識者・専門家・政治家・電力会社・メディアは、事あるごとに放言する。「〇〇マイクロシーベルト(µSv)の放射線が観測されてもレントゲン写真1回分だから…CT1回分より少ないから、問題はない」と。
 そもそもX線検診やCTスキャンによる外部被爆(医療被曝)は一瞬であり、一過性の事態である。例えば、胃のX線検診1回で0.6ミリシーベルト(mSv)、胸部CTスキャン1回で6.9mSvを被爆する。これは瞬間の微量被爆とはいえ、一定のリスクであることに変わりはない。しかし、この病気を診断する検査は、患者にとって被爆のデメリットよりも病気の発見というメリットが勝る段で行なわれるものであり、したがって妊娠中の女性や乳幼児に対しては、よほどの事情がない限り実施されることはない。
 これに対して、放射性物質の漏洩・放出に伴う外部被爆および内部被爆は、当該地域に住む乳幼児や妊婦を含めた老若男女すべてに、間断なく不可避的に四六時中生起しつづける。
 X線、さらには自然放射線(宇宙線など)に関する話を、核実験や原子力事故などによって生じた人工放射線と比較しながら、微量被爆の安全論に持ち出すのは、まさに悪質な詐欺にほかならない。

■ 放射性物質は固有の「半減期」を持っている。半減期とは、「放射性物質の放射能(放射線を出す能力)が元の半分になるまでの期間」を指す。放射能は半減期を繰り返しながら弱まっていく。
 この半減期はヨウ素131が8日であり、セシウム137が30年、ストロンチウム90が28.8年と長い。プルトニウム239は2万4千年、ウラン238は45億年と天文学的である。
 ヨウ素131は半減期が8日と短いから、比較的早く被爆の危険性が低下すると思われがちである。だが、忘れてならないのは、一度放出された放射性ヨウ素131が永遠に消えない点である。最初に1あった放射性物質は、半減期で2分の1なり、次に4分の1になり、さらに8分の1になり、16分の1になり…しかし永遠にゼロになることはない。
 ヨウ素131は揮発性が高く、原発事故が起こると漏出・拡散しやすい。しかも体内に取り込むと、主に甲状腺に蓄積してベータ線やガンマ線を出し、甲状腺ガンなどを引き起こす。セシウム137も放射性ヨウ素と同じように、揮発性が高く漏出・拡散しやすい。化学的性質がカリウムに似ているため、全身の筋肉や生殖腺に蓄積し、ガンや遺伝子の突然変異を起こす要因となる。
 ヨウ素もセシウムも内部被爆に要注意である。

■ 被曝の影響は、大きく二つある。一つは、放射線を受けた人の体に出る「身体的影響」である。もう一つは、その人の子孫に現われるかもしれない「遺伝的影響」である。さらに「身体的影響」にも、放射線を受けて数週間以内に症状が出る「急性障害」と、何年も経て発症する「晩発性障害」がある。
 フクシマで、福島県産のホウレンソウなどから高濃度の放射性物質が検出されたとき、日本政府―枝野官房長官―は、「ただちに人体(健康)に影響を及ぼすものではない」と繰り返した。この安直な言い回しには、急性障害の被爆リスクだけを問題にし、数年~数十年後の晩発性障害のそれを無視するイデオロギー的態度が端的に現われている。

■ 被爆の影響の問題は、人間の個人差の要因を抜きにしては考えられない。放射線に被曝した場合でも、誰もが一様に必ず同じ障害を起こすとは限らない。放射性物質や放射線への感受性は、個人によって異なる。
 ただし統計的に大づかみに言えば、被爆は下記のとおり、10倍ごとに影響のレベル(1~6)に違いがある(「被爆影響10倍則」)。
 ここでは、避難やマスク着用(内側に濡れガーゼを添付)で被爆を10分の1にすれば、放射線障害のレベルは1段下がることになる。
レベル6:10SV~100Sv(年間積算線量)⇒〚即発性被害〛全員死亡(死亡時期は数日~2ヵ月後)
レベル5:1Sv~10Sv⇒〚即発性被害〛一部死亡、吐き気・リンパ球減少等の強い放射線障害→〚晩発性被害〛発癌・老化
レベル4:100mSV~1Sv⇒〚即発性被害〛無気力等の弱い放射線障害→〚晩発性被害〛発癌・老化
レベル3:10mSv~100mSv⇒放射線業務従事者の許容線量50mSv(電離放射線障害防止規則)→〚晩発性被害〛発癌・老化
レベル2:1mSv~10mSv⇒心配しなくてもよい
レベル1:0.1mSv~1mSv⇒自然放射線による被曝と同程度、一般人の許容線量1mSv
 (ちなみに、1Sv=1000mSv、1mSv=1000µSv)


■ 被爆対策の根本は、放射性物質⇒放射線に対して、逃げる、吸わない、飲まない、食べないを、順次励行することである。
■ 「放射能」汚染地の農耕を制限してはいけない。汚染畑は通常どおり耕作しよう。水田の放射性物質は水でよく洗い流す→収穫米は汚染度をチェックして売る⇒高汚染米は東電に買わせる。中汚染米は焼酎にする(蒸留で事は解決する)。
■ 汚染畑では菜種、ヒマワリで食用油を作る。油を蒸留すれば、放射性物質は取り除ける。
 土壌の汚染除去の方法では、ファイトレメディエーション―056.gifヒマワリに代表される植物が根から水分や養分を吸収する性質を利用した土壌・水質の浄化技術―が期待される。
by tadyas2011 | 2011-06-16 00:00 | 安田塾の事後報告 | Trackback | Comments(0)
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