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                                  2013年1月10日 安田忠郎
                    第18回安田塾のご案内

 第18回安田塾は、下記の要領で開催されます。
■例会
【日時】2月9日(土)午後2時~4時30分
【講師】伊藤 弘(いとう・ひろし)
【テーマ】「海上自衛隊の今海賊対処活動を念頭に~」

【講師略歴】
1965年、千葉県市川市生まれ。
防衛大学校卒業。海上自衛隊幹部候補生学校卒業。
1999年から2年間、米コロンビア大学大学院に海上自衛隊から留学、国際関係論修士課程を修了。
海上幕僚監部補任課長・一等海佐。

【安田の寸評】
・私は1999~2000年にコロンビア大学東アジア研究所EAIに在任中、同大学大学院SIPAに留学中の伊藤さんと初めて出会いました。
・彼は2010.12.1~2011.5.9、海賊対処法(「海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律」2009年6月24日公布)に基づき、「派遣海賊対処行動水上部隊(第7次隊)」の指揮官(第7護衛隊司令)として、ソマリア沖・アデン湾における海賊対処活動を遂行しました。
・彼は現在、日本国家の「安全保障」の最先端に位置する防衛省・海上幕僚監部の主要幹部の一人です。ちなみに、「一等海佐」は諸外国海軍および旧日本海軍の大佐(将校・佐官の最上級)に相当します。
・防衛省・自衛隊とは何か。それは事実問題として、予算4兆円超・23万人を抱える巨大組織である。この紛れもない事実・現実に、私たち「民主主義」国家・社会の構成員はどのように正対し、思想的に振る舞うべきか―。例会では、国際環境下の国家(国民+領土+主権)のリアルな重い現実を直視する彼の率直な情報発信が期待されます。
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【会場】武蔵野商工会館5F第1・2会議室
【住所】東京都武蔵野市吉祥寺本町1-10-7
【tel】0422-22-3631(武蔵野商工会議所)
【アクセス】JR中央線&京王井の頭線「吉祥寺駅」中央口・北口(駅前ロータリー)・徒歩5分(サンロードを約150メートル直進→本町新道との交差点で左折→本町新道を約150メートル直進・右側)
http://www.musashino-cci.or.jp/about/map.shtml

【参加費】一般1000円 大学生500円 高校生以下無料 

■例会が終了次第、講師を囲んで懇親会を開きます。

 024.gif安田塾には、どなたでも自由に参加できます。
   今回ご参加を希望される方は、2月4日(月)までに、下記にご一報ください。
   055.gif tadyas2011@excite.co.jp
                                    2013年1月1日 安田忠郎
                      
                 第6回教員免許状更新講習を終えて

 私は2008年に財団法人・大学セミナーハウス主催の「教員免許状更新講習」のプロジェクトリーダーを務めました。そして、2009年に法人の「教員免許更新センター」長に就き、同講習を推進しつづけてきました(安田塾メッセージ№1~3参照)。[なお、大学セミナーハウス(〒192-0372 東京都八王子市下柚木1987-1、1965年開館、通称「八王子セミナーハウス」)は、2011年4月1日付で公益財団法人に移行する。]

 第6回教員免許状更新講習は昨年(2012年)12月24日~27日に開かれました。
 ここでは、4日間にまたがり、必修4講座(A1~A4、各3時間・計12時間)+選択6講座(B1~B6、各3時間・計18時間)=総計10講座(30時間)が開講され、各講座⇒全講座の試験に合格すれば修了証が交付されます。

 各講座名→担当講師は、次の通りでした。
A1【現代の学校教育が問われているもの】 
  →私・安田    
A2【現代心理学からみた子どもの発達と教育】 
  →高垣マユミ(実践女子大学生活科学部教授)
A3【学校改革・教育改革】 
  →私・安田
A4【安心・安全な教育環境づくりと危機管理体制】 
  →内藤昌孝(元神奈川県立教育センター所長)
B1【何のための教師~「子どもから」神話からの解放をめざして~】 
  →山内芳文(聖徳大学児童学部教授)
B2【現代日本社会における子どもの問題行動と教師の役割】 
  →私・安田
B3【異文化理解と共生の教育】 
  →小川彩子(米国州立シンシナティ大学UCBA助教授)
B4【教師のための環境サイエンス~日本の近代化と環境問題・環境教育~】 
  →吉田真史(東京都市大学知識工学部教授)
B5【グローバル教育者に変身!】 
  →小川彩子
B6【日本人の「人格形成」における特殊日本的エートス~日本文化のアイデンティティに即して~】 
  →私・安田 

 私の各講座内容の主要項目をかいつまんで告げると、
A1【現代の学校教育が問われているもの】 
(1)日本と世界の関係の一大構造変化
 ・「単一の文化宗主国に対する上下垂直関係」から「前後左右の水平多項構造」へ
(2)日本の「近代化」と学校教育の歴史
 ・幕末維新期=「第一の開国」」⇒「第一の教育改革」
 ・太平洋戦争前後=「第二の開国」」⇒「第二の教育改革」 
 ・現在=「第三の開国」」⇒「第三の教育改革」
(3)教師とは何か
 ・教師聖職論―「師範学校令」(1886年)
 ・教師労働者論―日教組「教師の倫理綱領」(1952年)
 ・教師公務員論
 ・教師専門職論―ILO・ユネスコ「教員の地位に関する勧告」(1966年)

A3【学校改革・教育改革】
(1)「学力」の構造と「学習指導要領」の変遷―経験主義vs.系統主義
(2)1890年「教育勅語」と1947年「教育基本法」
(3)「教育基本法」の改正(2006年)
(4)戦後日本社会に民主主義は定着しているか
(5)幕末維新期に来朝の欧米人が展開する「日本及び日本人」論
(6)教育における「定期航路方式」と「大航海方式」

B2【現代日本社会における子どもの問題行動と教師の役割】
(1)1973年「石油ショック」に伴う、戦後日本の産業構造上の大転換
(2)高度経済成長と教育拡大(教育爆発)
(3)戦後の青少年問題・教育問題
 ・1968年10~11月「永山則夫連続射殺事件」
(4)1970年代後半以降に噴出する「学校病理」現象
 ・1977年10月「開成高校生殺人事件」
 ・1986年2月「中野富士見中学いじめ自殺事件」
(5)日本社会の「国際化」に対応した教育のあり方
(6)教師の「力量」とは
(7)「信頼される大人・教師・学校」となるために

B6【日本人の“人格形成”における特殊日本的エートス―日本文化のアイデンティティに即して―】 
(1)日本人とは何か―日本民族の伝統的な考え方(宗教)
 ・日本的共同体の構成原理
 ・「和」の信仰
 ・「ケガレ」忌避の信仰
 ・「言霊」信仰
 ・「怨霊」信仰
(2)日本人とは何か―日本人の精神構造の核心
 ・イザナキ-イザナミ神話と「見るなの禁止(タブー)」(『古事記』)
 ・ギリシア神話におけるオルペウスとエウリュディケー
 ・ソクラテスの「ギュゲスの指輪」(プラトン『国家』)
 ・「恥‐原悲」vs.「罪‐原罪」

 同講習は第1回このかた世評を得て、第2~5回は定員60名を大幅に上回り、今回もまた小中高の教職経験者81名(現役69名+非現役12名)が受講しました。 

 ≪受講者81名の内訳≫
 性別―男44名、女37名
 年代別―30代21名、40代31名、50代29名
 学校別―小学校13名、中学校23名、高校20名、中学高校9名、養護学校1名、特別支援学校3名、その他12名(非現役)
 都道府県(現住所)別―東京31名、神奈川22名、埼玉10名、山形・千葉・山梨・長野各2名、岩手・宮城・福島・栃木・茨木・静岡・大阪・岡山・佐賀・沖縄各1名

 受講者はこぞって、4日にわたるハードなスケジュールに追いまくられながらも、全講座に熱心に取り組み、講習を無事終えることができました。彼らは各講師の話をとくと聞き、きちっと理解しようと一筋に努めていました。

 講習の終了後、受講者全員に「本講習・各講座の具体的内容」に関するアンケートが実施されました。
 結果、アンケートの回答者81名(無記名8名+記名73名)の大多数が「講習」全般に高い評価(自由意見)を下しました。好評嘖々(さくさく)たるものがありました。その一端をうかがうと、

・西影芳一さん(50代の非現役)いわく、「受講する前は、どうせお上の作った下らない制度だから早くこういう制度がなくなったらいいと思っていた。しかし実際、受講してお世辞ではなく、本当に有意義で受講料がかえって安いくらいに思えた。安倍晋三氏が意図したものとは違っているのかもしれないが、この内容なら免許状更新の制度は正解だったような気がする。講座内容の細かいことなら少しは問題もあろうが、私は本当にここで受講して良かったと思っている。」
・永島良幸さん(40代の高校教諭)いわく、「とても良かった講習でした。講師の先生方はとても真面目に取り組み、とても良い雰囲気でした。私自身、当初は申請講習そのものに否定的でしたが、講義を聞くうちに、考えも変わりました。それもひとえに先生方のおかげだと思います。今後の私の教員生活に活かせることがたくさんありました。」
・下田知子さん(30代の高校教諭)いわく、「正直なところ、はじめは“めんどうだなあ”という気持ちが強く、ただ“聞く”だけの講義かと思っていましたが、色々と考えさせられることが多くあり、大変勉強になりました。」
・谷中哲也さん(40代の中学高校教諭)いわく、「はじめは30時間の講習!とおびえていましたが、実際の4日間は実に楽しく面白く受講できました。大学生のときよりも経験を積み、知識も蓄えたからか、一睡もせずに!講師の先生方のどんな話も真剣に聞き入り、その考えと経験に本気で学びました。講習を終えて実感したことは、自分は何もわかっていない!ということです。これから先いつまでも、あらゆることを貪欲に学び続けていきたいと、今回思いを新たにした次第です。」
・石井一史さん(30代の中学教諭)いわく、「正直30時間というのはかなりキツかったのですが、どの講師の先生も個性豊かで、とても熱心に教えて下さり、先生方の一挙一動がとても印象に残っています。また全国から集まった先生方とも交流する機会があり、貴重な体験となりました。4日間、長いようで短いものでした。ありがとうございました。」
・町田孝一さん(50代の中学教諭)いわく、「予想していたよりも格段に充実した受講ができました。日常の勤務の中では、なかなかできない経験でした。講師の方々に感謝します。」
・神田美由紀さん(40代の中学教諭)いわく、「この講習に参加できて本当に良かったと思いました。自分が信じてきたこと、拠りどころとしてやってきたことが、これで本当にいいのかと見直すことができる、いい機会になりました。4日間、常に『今のままでいいのか?』と疑問を投げかけられ、心がゆさぶられ続けていました。」
・椹 真幸さん(50代の特別支援学校教諭)いわく、「たいへん勉強になりました。本講習会に参加して良かったです。講師の先生方もそれぞれ個性的な方ばかりで、すばらしかったです。全体を通して、自分が『学んでいく』姿勢、“自ら考え、行動し、学ぶ”ことの大切さを知りました。ありがとうございました。」

 そして、多岐に分かれる各「講座」評(自由意見)の場合、私の担当する4講座が受講者81人中の30人によって対象化され、30人すべてからポジティブな評価を得ました。
 その評言の多くは、人生の妙諦を知る熟年のオジサンの琴線に触れるものでした。教育者冥利(みょうり)に尽きると言うべきでしょうか。例えば、私の学問的な価値を見分ける彼らのまっすぐな言葉の一端は、次のようなものでした。

 和田吉重さん(50代の養護学校教諭)いわく、「受講スケジュールをもらって、一番気がかりだったのは、全講座の十分の四を担当する安田さんがつまらない話をする人だったら、どう時間をやり過ごそうかということでした。結果、取り越し苦労で終わってよかったです。逆に大変よい刺激になりました。教養と批判的精神について学ぶところ大でした。」
 藤田 聡さん(40代の高校教諭)いわく、「私にとって毎日、安田先生のお話を聞くことができたのは幸運でした。先生の数々の問題提起を真剣に受け止め、大いに考えさせられ、触発されつづけました。批評家・思想家といってよい広い教養とそれを総合してテーマ化していく先生の力には敬服しました。」
 長井友理子さん(40代の中学教諭)いわく、「安田先生の講座に、全般的に共鳴と申しますか、納得いくところがありました。もともと“歴史的なもの=『流れ』を知りたい”という気持ちが強いものですから、ハマったのだと思います。先生のいう『鳥の目』と『虫の目』、両方必要なのが教育現場ですので、改めて自分の得手・不得手を確認し、偏りのない教育活動に取り組みたいと思います。」
 樋口 崇さん(30代の中学高校教諭)いわく、「安田先生の講座では、学校教育の諸問題の背景がよく理解することができ、今後の教員生活の中でどう考えるべきかの方向性を見いだすことができました。」 
 宮寺由香さん(30代の小学教諭)いわく、「安田先生のお話は、日本及び日本人の歴史的・文化的背景を盛りだくさんに丁寧に説明していたので、消化不良を起こしながらも、私なりに必死に110%くらい頭を働かせて聞いたり考えたりしました。これから毎日5分でも10分でも幅広く勉強するようがんばります。」
 吉田明宏さん(40代の小学教諭)いわく、「安田先生の各講座は、興味深く拝聴いたしました。講座の『柱』『テーマ』をしっかりお持ちであることを感じられたからです。」
 竹内知子さん(40代の非現役)いわく、「安田先生の講座は4コマ通じて一貫性があり、とても面白い話の連続でした。」 
 小辻裕美子さん(50代の小学教諭)いわく、「安田先生の講座はどれも、さらに詳しく学び直したいと思えるもので、その意味で今回の講習はたいへん意義深いものだった。」
 佐合弦一さん(40代の中学高校教諭)いわく、「安田先生の授業は、これは知っておくべきだったと思うことが多く、日頃もっと研鑽すべきと思わせる充実した内容を伝えてくれました。また、先生がしばしば使われた『…に緊張感を持つべき』という言葉が私の耳の奥に響きました。」
 無記名の意見:「安田先生の講座A1・A3では、歴史的文脈の中で現在の学校教師の立つ位置が考察されており、それは教員生活の日常的業務にいたずらに追いまくられる私にとって、とても有意義なものでした。」

↓ A1 講座(2012年12月24日12:30~15:30)
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↓ B6 講座(2012年12月27日12:30~15:30)
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